2009年大会詳細
大会日程:8月22日(土)~30日(日)
場所:フランス ボルドー近郊・ビスカロス フランス軍施設
ロケット名:UCK-09/愛称:ガスパール(フランスの絵本・『リサとガスパール』から)
2009年は昨年とはうって変わって人数が増え、また打ち上げの会場もフランス・ラクーティンからワインで有名なボルドーにほど近いビスカロスへと移されました。ビスカロスはリゾート地として有名な所で海も近く景色もとてもいいところです。
ビスカロスの海、砂はサラサラでとても綺麗。遊泳よりもサーフィン向きのビーチだそう。
今回のロケットは衛星を少し大きくしたいとの事だったので、それに伴って
ロケットの径が少し大きくなりました。衛星は2機、また衛星の放出機構も大きく変更が加えられました。以前は衛星セッティングの際にロケットを毎回開けて最低2人がかりでラッチをかけていたのですが、やはり手間と時間がかかり、またセッティングミスが起こりやすい構造でしたが、それが解消された今回のものは外から軽く押し込むだけでセッティングが完了するようになりました。これは非常に大きな成果と言えると思います。
模擬衛星についてですが、1機はカメラを搭載し上空からの様子を写真に収めながら落下してくるシンプルなもの、もう1機はGPSデータを用いてパラシュートを操作し、指定した地点に落ちるよう自動制御をおこなうもフライバックシステム搭載のものです。
今回我々が一番苦しめられたのがロケットの総重量の問題でした。殆どが完成し、大まかに重さを量ってみようと本番同様に組み上げて本番用の衛星を搭載したものを重量計に乗せた所、大幅オーバーの数値。これでは打ち上げられない…。判明してからはたとえ1グラムでも余分を削る事を余儀なくされました。
その結果出来上がったのがこれです。
写真奥側のエンジンが入る部分にいくつもの大きな穴があいています。いまだかつてこんなロケットがあったでしょうか。…ないと思います。外から見た感じではエンジン部だけ抜いたように見えますが、中はもっといろんなものを削っており、最後のほうはグラム単位での闘いになっていました。
昨年だいぶ受信テストに苦労した無線通信は確認だけでほぼ終了するぐらいスムーズに終わりました。ほかのテストもわりとスムーズに通過したと思います。
そして打ち上げ。無線によるGPSデータ受信も受信そのものは成功。2機の模擬衛星の放出も成功したかのように見えましたが、回収してみるとカメラ搭載機は非常に鮮明で素晴らしい写真を撮って帰ってきたのですが、もう1機のフライバック衛星はなぜかロケットの中に半分おさまったままの状態で回収されました。
今回の打ち上げ場は前回までのラクーティンとは違って完全に整備されて視界が開けた平地で行われたため、落下地点が目で見てわかるような状態でしたので非常に楽でありがたかったです。
ロケットにもカメラが搭載されていたのですが、打ち上げの衝撃で配線に不具合が出たようで上手く動作せず。衛星のカメラは先ほども書いた通りきちんと動いて綺麗な写真を何枚も撮ってきてくれたのですが、いかんせん会場がフランス軍の施設内でしたので、基地を撮った写真は基本的にWEBにアップロードしてはいけないという決まりがありそれにサインしているのでお見せすることができません。現像した写真を直接目で見て頂く事は可能ですので、ご興味がおありの方は是非UCKの作業場へお越しくださいませ。
そして昨年大失敗だったGPSデータの受信実験ですが、受信自体は前回同様問題なく行われましたが、プラネットサイエンスの機材で受信した飛行中のデータの一部が消失しており、またPIC内にも同じデータを残すようにしていたのですがこちらもノイズが多量に乗っていたのか上手く読み取れないという結果に終わりました。
次回はそれらを踏まえて結果を残したいものです…。