フランスのボランティア団体Planet Scencesをフランスが国を挙げて支援し、 毎年夏に開催しているモデルロケット打ち上げ大会です。 大会にはCan-Sat部門、ペットボトルロケット部門、バルーン部門などがありますが 私たちが参加を目指すのはその中のモデルロケット部門です。
これらは優劣を競うものではなく、それらにどういった動きをさせるよう製作したのか、 そして実際にそれに沿った動きをするかどうかという点において 『ノミナル(予定通り)』または『バリスティック(予定外)』のどちらかの評価が下されるものです。
現地でフランス軍から支給される本物のミサイル用のエンジンを搭載し、 上空約1000メートルの高さへ打ち上げます。 日本からは岐阜、北九州、大阪のチームが参加しています。
モデルロケットとは宇宙へ行くロケットを簡略化し、 日本の成人男性より少し背が高いくらい~2メートル程度の大きさに小型化したものです。 モデルロケットはチームによって様々な特色がありますが、 当クラブのものは模擬衛星と呼ばれる小さな箱にパラシュートをつけたものを 2機から3機搭載し上空から放出するのが特徴です。
小型・簡略化されたと言っても機能的には宇宙ロケットとほとんど変わらず GPSやジャイロなど様々なセンサーを用いてデータを取ったり、 PICと呼ばれるマイクロコンピューターをプログラムで動かし、 模擬衛星を上空で放出する機構やパラシュートを開くタイミングの制御を行なったりします。 模擬衛星(Can-Sat)とは、それ自体は約10センチ四方のただの箱ですが その中にデジタルカメラやGPSなどを搭載して様々な機能を持たせる事が出来ます。 また模擬衛星はフランスのチームとの技術交流のツールとして用いる事もあります。
まずはどんなモデルロケット・模擬衛星を作るかを決めます。 前年出来なかった事や失敗した事を踏まえて仕様を見直したり、今年のチャレンジ目標を決め、それに沿った機体設計をします。
目標が決まったら次は基礎知識を身に着けるための
勉強会を開きます。
ここまでは特に班分け等はせず電子回路の基礎であったり、 機構設計の基本であったり、プログラムの基礎であったりをみんな平等に学び、自分がやりたい事を見つけます。
基礎学習が終わったら、ひとりひとり自分のやりたいパートを決め、 それに沿って班分けをし、製作作業を開始します。
作業に行き詰まったりした時は講師の方々をお招きして 再度勉強会を開き、再チャレンジ。これを繰り返して完成に近づけていきます。
高度な事になればなるほど簡単には行きませんが、この地道な努力がのちの成長や感動に繋がります。
出発の約2か月前(6月半ば前後)になるとフランスから検査員が来日し、 進捗状況や仕様が大会規定を外れていないかなどを大まかにチェックされ、 検査員の方と一緒に大小さまざまな問題点を洗い出します。
洗い出された問題点を1つ1つ地道になくしていき、全てクリア出来ればひとまずは完成です。
パーツごとの動作テストや、全体を通した動作確認をし、渡仏までにさらに完成度を上げていきます。
機体とともにフランスへ。
到着後、様々な項目について厳しいテストが行なわれます。
大会開会から閉会までは約1週間ありますが、テストを受けられるのは
最初の3日間ほどで、その間に全テストをクリア出来なければ
打ち上げられないため早朝から深夜まで必死の作業が続きます。
すべてのテストに合格するとやっと打ち上げ許可がもらえます。
いよいよ打ち上げ。
打ち上げはやり直しなしの1回きり。ミスややり残しがないようメンバー全員で最後の整備と確認をし、 打ち上げ台にセットします。
現地の担当者にエンジンを取り付けて貰ったらあとはノミナル(予定通り)を信じ、
プロジェクトリーダーがカウントダウンの終了とともに発射スイッチを押します。
緊張の瞬間です。
10 dix ディス
9 neuf ヌフ
8 huif ユイット
7 sept セット
6 six シス
5 cinq サンク
4 quatre カトル
3 trois トロワ
2 deux ドゥ
1 un アン
発射!
無事地上へ戻ってきたモデルロケットと模擬衛星を回収し、 センサーのデータなどを取り出して解析します。
帰国後、解析したデータをもとに上空でどういった事が起こったか、 なぜこういうデータになったかなどを検証し、良かった点や悪かった点を洗い出し、 レポートにまとめ、ご支援下さった方々への感謝の意味も込めて報告会を行ないます。
報告会後レポートを英訳してC'Spaceへ提出します。
以上が我々のプロジェクトの1サイクルです。