2008年大会(UCK-06B)詳細
UCK-06Bのノーズコーン。
愛称はカリメロ。メンバーの一人が飼っていたわんちゃんの名前から来ています。
2008年は例年になく準備期間も3月末から7月半ばまでと短く、また渡仏出来るメンバーも少ない大会で、さらには困った時に頼れる指導者の方も不在で不安要素だらけの年でした。
準備期間が短かった事もあり、ロケットそのものは昨年までのロケットを踏襲する形をとりましたが、やはり何か1つぐらいは新しい事がやりたい!という事で無線通信を取り入れました。大会主催のプラネットサイエンスさんからお借りした無線送信器を通じてGPSデータを受信する試みです。
ロケットそのものは昨年の踏襲でしたのでさほど苦労せず試験に合格していったのですが、無線のテストが最初全く上手く行かず、またそれを担当したメンバーが事情で渡仏出来ず日本に残っている状態でしたので、メンバーと真夜中に(日本は早朝)電話で連絡を取ったりしながらああでもないこうでもないと格闘しながら丸二日かかってようやっと受信に成功。
打ち上げについてはノミナル(成功)判定を頂きました。衛星も今回は3機搭載していましたが、1機は予定通りに射出され、もう1機は残念ながらロケットのパラシュートに引っかかっており、最後の1機は行方不明となってしまいました。回収出来た1機も落下時の衝撃で破損したようです。
そして今回初の試みだった無線によるGPSデータ受信についてですが、データの受信自体は成功していたものの、受信したデータそのものに異常がみられたため、ロケット落下場所を特定する材料には残念ながらなり得ませんでした。
ちなみにどんな異常データだったか……。無線受信担当の方から『このデータだとロケットはロシアまで行った事になるね!』とにこやかに言われました(笑)。
後々判明した事ですが、どうやらGPSがフランスに来てからきちんと人工衛星を捕捉していなかったようで、日本で最後に実験した時のGPSデータが延々送られてきていたようでした。つまりフランスにいながら『僕は今東大阪にいるよー!』と主張していたわけです。無線通信が出来ているかどうかにばかり気を取られて肝心のデータそのものについては注力していなかったため気付かなかったという、なんともお粗末な結果に終わってしまいました…。
打ち上げの後はロケットの捜索です。大まかな落下地点はプラネットサイエンスの方が三角測量で割り出して下さるのですが大体の位置しかわからないため実際に行って自分の目で探さなくてはいけません。打ち上げ場はフランス軍基地の訓練場で背の高い木々や草が密集して生い茂っており、耳元を飛ぶ蜂などの虫の大きな羽音に精神力を削られながら、太く鋭い棘の生えた草を傷だらけになりながらかき分けてもぐり込み、高さ数メートルの木の上に引っかかってはいないかと目を凝らし、大会の残り時間をめいいっぱい使って捜索しましたが、ロケットは残念ながら見つける事は出来ませんでした。
ロケット捜索中の様子。
その代わりと言っては変なのですが、前年の2007年に打ち上げバリスティック判定(失敗)になったまま行方不明になっていたロケットを見つけ回収する事に成功しました。
2007年に打ち上げたロケットが見つかった時の様子
2007年のロケットは打ち上げ時に上空でパラシュートがすっぽ抜けてそのまま弾道飛行になったため、全長約180センチほどあった機体が地面に頭から突き刺さっており、掘り起こした時には50センチほどにまで圧縮されて中身は文字通りの粉々という状態で発見されました。ビデオカメラに入っていたSDカードだけが見た目ほぼ無傷で出てきたのですが中身にアクセス出来ず、それでも諦め切れず帰国してからデータ復旧の会社に復旧を依頼したのですがやはり読み込む事は不可能でした。